指定文化財詳細

ごみょうけじゅうたくはなれざしき・ぶんこぐら

五明家住宅離れ座敷・文庫蔵

指定区分
国登録有形文化財 
地区
松代 
所在
長野市松代町松代 
年代
明治前期 
指定等年月日
平成22年9月10日
地図

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解説
 概 略:
  松代町西木町は、近世期には「木町侍町」と称し、重臣屋敷があったところである。近世後期になると街道に面した侍屋敷地を借地して商家が立ち並ぶようになった。近代になると公官庁と共に商家が建ち松代の中心地として栄えた。
  五明家住宅は、近世期より薬種問屋を営んでいた「大丸屋」が明治になってから近代住宅として建設したもので、昭和になって五明家が入手し、薬局を開業したものである。
離れ座敷:梁間2間半、桁行3間半の数寄屋造桟瓦葺、総ひのき造りの建物で、四周に一間の廊下(一部畳敷き)が附設されている。西隣にある文庫蔵へ室内から行けるように改築されている。また、天井はそれぞれ極彩色の絹張り天井であったが、傷みがひどくなり板に替えたという。その他は建設当初の形態を維持している。この座敷は天井の中央に美しい繰形の周り縁で六角形に形作られた金天井が施されている「金座敷」と同様に銀天井が施されている「銀座敷」とからなる。金座敷は一間の出書院に一間の床の間・一間の脇床(地袋・天袋付)の10畳間で、鶴の釘隠を備えた長押が回されている。出書院・脇床を備えた床造りは簡素なものであるが、近代豪商の趣を感じさせる造りとなっている。銀座敷は4尺5寸の床の間付きの8畳間で、金座敷と同様に鶴の釘隠を備えた長押が回されている。落とし掛けは樹皮の美しい自然木をそのまま使用する。繊細で凝ったつくりになる書院座敷である。
文庫蔵:梁間2間、桁行2間の木造二階建、土蔵造り、切妻造桟瓦葺の建物である。外観は土蔵造りの観音扉が取り払われている他は建設当初と大きく変化していないが、内部は改造されている。蔵入口建具は、縦格子窓付き板戸と障子戸となっている。板戸には落し錠が施されている。鍵穴には大きめの錺(かざり)金物が張られ、近代商家の経済力を誇示した造りとなっている。二階部分は太い小屋梁や束は剥き出しになった造りとなっている。建設年代を特定できる史料などは現存していないが、入口前の持ち送りの雲紋の彫りなどから住宅が建設された明治前期のものと推測される。昭和12年頃改修。