- 解説
- 大室26号墳は「大室古墳群大室谷支群村東単位支群」と呼ばれるグループに属しています。大室谷支群は標高700m近い谷上部から標高350m付近の谷入口部に形成された扇状地にかけて古墳の分布がみられますが、谷入口部にまとまって分布する古墳を村東単位支群と呼称しています。26号墳はこの村東単位支群で最も古墳が密集する音無川右岸の標高366m付近に位置しています。
墳丘は墳丘上部や斜面上方側が大きく削平されていました。また、横穴式石室は玄室が完全に露出し、天井石が一石のみを残して失われて流入土石で埋没していました。このように損壊が著しい状況でしたが、発掘調査を実施したところ、盛土石を用いた「土石混合墳丘」で、直径15.1mの円墳であることがわかりました。
埋葬施設は両袖形の横穴式石室です。奥壁は巨石一石による鏡石で、玄門部には楣石が残っていました。羨道部は埋没しているため構造などは不明ですが、羨道先端部がハ字形に広がり前庭部を形成していることが確認されました。この羨道先端部がハ字形に広がる前庭側壁が残存している古墳は大室古墳群内では少なく、貴重な事例となります。
出土遺物は土師器・須恵器がありますがごく少量で、副葬品などは知られていません。築造年代は横穴式石室の構造や出土遺物から七世紀前半と考えられ、八世紀前半まで追葬が行われたと考えられます。
なお、史跡整備では削平された墳丘部分にデッキを設置し、横穴式石室を上から見られるようにしました。
【参考文献】
駒沢大学考古学研究室・長野市教育委員会 1981 『長野・大室古墳群-分布調査報告書-』
大塚初重・小林三郎・石川日出志編 1993 『信濃大室積石塚古墳群の研究Ⅰ-大室谷支群・村東単位支群の調査-』(明治大学人文科学研究所叢書)東京堂出版
長野市・長野市教育委員会 2007 『国史跡大室古墳群 史跡整備事業にともなう遺構確認調査概要報告書-エントランスゾーンB~D区 遺構編-』
長野市教育委員会 2016 『史跡大室古墳群(4)』
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