指定文化財詳細

どうぞうあみだにょらいおよびりょうわきじりゅうぞう

銅造阿弥陀如来及び両脇侍立像

指定区分
県宝 
地区
安茂里 
所在
長野市安茂里小市 
年代
鎌倉時代中期 
指定等年月日
令和2年9月28日
地図

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解説
 無常院は安茂里(あもり)の西方小市(こいち)にある。同地は中世比叡山延暦寺の荘園で、古くから戸隠山参詣(さんけい)の小市の渡しがあったところでもある。寺伝によると、永承三年(1048)天台宗誓(しょう)林坊が開基した寺で、のちに衰微したのを知恩院の弟子慶誉が永禄二年(1559)再建したものという。いまは浄土宗知恩院末派に属している。
 この三尊像は同寺の本尊でいわゆる善光寺式一光三尊の銅像立像である。光背を失い、台座を後から補っている。像高は中尊45.7㎝、脇侍は両菩薩共に31.0㎝である。
 中尊の螺髪(らほつ)は鎌倉時代に多く見られる大粒のもので、髪際(はっさい)はわずかに波形をなす。口唇(こうしん)は厚く、両まぶたを細く開いており、その目じりにいたる線が美しい。また、衲衣(のうえ)が両肩から胸前におよぶ襟元や、胸前から下半部にいたる衣文(えもん)のたたみは見事であり、木型による鋳造と思われる。
 右手は施無畏(せむい)印、左手は刀印で、両手首ははめ込みだったが、今は欠失しており、また、右足先も失っている。
 脇侍の観音・勢至(せいし)両菩薩像は同型による鋳造で、ともに六角宝冠を戴く。宝冠に刻まれた宝相華(①ほうそうげ)および毛髪の毛筋は繊細で美しい。
 両者ともに梵篋(ぼんきょう)印を結び、条帛(じょうはく)・天衣(てんね)やひざ前の衣文のたたみも美しく、鎌倉中期の制作と考えられる。

 注①宝相華(ほうそうげ)・・奈良・平安時代に種々の仏教美術に用いられた豪華な花文様。