指定文化財詳細

せきぞうほうきょういんとう

石造宝篋印塔

指定区分
市指定有形文化財 
地区
長野 
所在
長野市大字長野元善町 
年代
室町時代初期 
指定等年月日
昭和42年11月1日
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解説
 この宝篋印塔(ほうきょういんとう)は善光寺境内山門の西にあり、二基がわずかの距離を隔てて西と東に並立している。高さは西塔が149㎝、東塔が140㎝である。
 西塔・東塔共に基壇と基礎を重ねており、塔身、笠部など同形式にできているが、両塔とも相輪(そうりん)(最上部)を失い、代わりに円球を載せている。
 この塔の特色として、基壇に、木造古寺建築に見られる地覆(①じふく)石・束(つか)石・羽目(はめ)石・葛(かずら)石の形を彫(ほ)り出し、普通の基壇のように上部に二段の階段をつけないで、葛石から傾斜をつけている。基礎も同様に彫り出して、上部二段の下の段に反花(②かえりばな)の蓮弁(れんべん)を刻む。
 東塔は摩滅が多いが同様である。ただし、東塔の基壇の羽目石に当たる部分に、美しい形の格狭間(③こうざま)を入れているところが西塔と異なる。
 また、西塔には塔身の四面に花頭窓の形を籠(かご)彫りし、金剛界の四仏(④しぶつ)・不空(ふくう)成就(じょうじゅ)(北)・阿?(あしゅく)(東)・宝生(ほうしょう)(南)・弥陀(みだ)(西)をあらわす種字(⑤しゅじ)を陰刻している。東塔は花頭窓をつくらず、塔身四面に弥陀の種字だけを陰刻する。
 両者に異同があり、造立年次も少し違うかと思われるが、両者とも室町時代初期の造立とみられる。特に西塔には逆修(⑥ぎゃくしゅ)の二字に続いて二十一人の法号が刻まれており、その造立年次も古く、しかも特色のある塔として県内でも例のないものである。

 注①地覆(じふく)石・・・本格的な基壇の壇上積みを構成する石。
 注②反花(かえりばな)・・・花弁が下向きに垂れた形。
 注③格狭間(こうざま)・・・上部が数個の曲線からなり、下部が椀(わん)のような輪郭をもつ形。装飾に用いられる。
 注④四仏(しぶつ)・・・・東西南北の仏土に住する四如来を指す。
 注⑤種字(しゅじ)・・・・密教などで仏・菩薩(ぼさつ)・明王などをあらわす特定の梵字(ぼんじ)。
 注⑥逆修(ぎゃくしゅ)・・・・死後の幸福を願って、生前の供養をすること。