なかごえのこうしんとう
中越の庚申塔
- 指定区分
- 市指定有形文化財
- 地区
- 吉田
- 所在
- 長野市中越
- 年代
- 1650年(慶安3年)
- 指定等年月日
- 昭和53年3月25日
- 地図
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- 解説
- この庚申(こうしん)塔は、それぞれ一石の台座・塔身・屋根を組み合わせた石祠型のもので、市内ごおろ山産と思われる安山岩を用いている。総高92.5㎝で保存のため覆屋が設けられている。台座は平型方形で、正面に階段を彫り込んである。
塔身は角柱状に刻み、正面は周縁を額縁状に彫り出して縁どりし、上部に火焔(かえん)形の窓を二個並べ、下部の中央に縦長方形の窓をあけて、この窓の両側にそれぞれ一猿を浮き彫りにしている。向かって右の側面には、「奉遣立庚荒神 慶安三季庚寅○月吉日」と薬研(①やげん)彫りの銘文がある。内部は空洞に刳(く)り、正面の壁に舟形光背の三尊を浮き彫りにしている。
屋根は入母屋(いりもや)で、棟(むね)を彫り出し、勾配(こうばい)は急で反(そ)りがある。軒先は厚く、内側へ斜めに切り下げ、軒裏に垂木を彫り出す。また、妻には梅鉢文(うめばちもん)の妻飾りを陽刻(浮き彫り)している。
庚申塔は庚申信仰のための供養塔で、室町時代に始まったといわれるが、寛文五年(1665)以前のものは極めて少ない。この庚申塔には慶安三年(1650)造立の紀年銘があり、長野市内では最古のもののひとつで、技法も優れ、保存状態もよい。
また元禄六年(1693)から今日に至るまで連綿として一度も休むことなく庚申講を続けてきたという、驚くべき記録(長野市指定文化財「中越庚申講人別帳および用具一式」)をもつ中越庚申講の供養塔であることでも貴重な遺物である。
注①薬研(やげん)彫り・・・・断面がV字形になるように彫ること。