指定文化財詳細

けんぽんちゃくしょくあみだしょうじゅうらいごうず

絹本著色阿弥陀聖衆来迎図

指定区分
重要文化財 
地区
長野 
所在
長野市大字長野元善町 
年代
鎌倉末期から室町初期(南北朝)と推測 
指定等年月日
平成25年6月19日
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解説
 本図は、西山の端にかかる満月を背に、阿弥陀聖衆が極楽浄土から娑婆世界に来迎するという、情景描写を背景とした浄土三部経の臨終往生の教えを説く来迎図で、縦172.5㎝、横106.5㎝の法量で示すように大幅の画面は迫力がある。
 画面は、中央に正面向きの阿弥陀如来を、その左右に同じく正面向きの楽器を奏でる諸聖衆、さらに画面下方の左右に持幡菩薩を従える観音・勢至菩薩など二十七菩薩を描く。いずれも阿弥陀如来衆及び諸聖衆は、悉皆金色が施され、緑色の踏割蓮花に立ち灰色を帯びた白雲に乗る。
 情景描写として、画面右上の山際に周囲を赤く染めた満月が輝き、画面の最下段は左端に滝が描かれ、金銀泥に彩られた土坡や藍色の池水が広がる。そしてそこには紅葉が散り、菊や竜胆、蓮華が咲き鴛鴦が泳ぐ。おそらく天上の極楽浄土を意味しての情景であろう。
 画面全体の地色は、夜景を示すかのように深い藍色となっている。
 その中で、特に如来に随従し、楽器を奏でる諸菩薩の姿態などは克明に描かれ、その奏でる楽器の荘厳な音色が観じる者に伝わってくる。現状、如来や聖衆の一部の彩色に剥落が認められるが、全体的に来迎図の持つ荘厳さが失われず、内容的にも充実した優品である。
 また、県下に伝存する浄土教絵画の来迎図は、南北朝時代以降の、斜め構図・横向きの定型化された構図で、情景描写が失われたものが主体である。その中で、本図は既述のように情景描写が添えられている点、来迎図の中でも歴史的に古いとされる「山越阿弥陀図」に共通する内容をもち、しかも鎌倉時代後半にまで遡ることのできる、現時点では県下で最古のものとして貴重である。
 善光寺本坊大本願は浄土宗の寺院で、天台宗の善光寺本坊大勧進とともに、善光寺の歴史にかかわり、古来その信仰を実際に支え今日に至っている。本阿弥陀聖衆来迎図の本寺への将来はつまびらかではないが、本図は浄土宗寺院にとっては必須の仏画であり、善光寺の歴史とともに、営々とその信仰を支えてきた大本願の歴史を明らかにする貴重な遺例といえよう。