おおむろ348ごうふん
大室348号墳
- 遺跡群
- 大室古墳群 北谷支群
- 遺跡番号
- F-116-348
- 種別
- 古墳
- 時代
- 古墳
- 地区
- 松代
- 所在
- 松代町大室
- 地図
-
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- 解説
- 大室348号墳は松代町大室の大道東山手に位置し、「大室古墳群北谷支群」に属しています。大室古墳群北谷支群は北谷・中谷・ちがや窪・臼窪の四つの谷部と、これらが開口して千曲川に向けて形成された扇状地上に古墳の分布がみられます。348号墳はこれら四支谷の前面に形成された扇状地の扇端部に位置し、北谷支群では最も千曲川に近い古墳のひとつとなります。
墳丘は積石墳丘で直径16.7m、高さ4.5mを測る円墳です。墳丘頂部が大きく崩れ、天井石が露出しています。埋葬施設は羨道の一部を欠損していますが、全長8.8m、玄室長6.5m、玄室幅1.9m、玄室高2.35mを測る横穴式石室です。玄室規模は大室古墳群中で墳丘・石室ともに最大規模となる大室谷支群の244号墳の長さ6.5m、幅2.3m、高さ2.5mに匹敵し、大室古墳群で最も大きな石室のひとつとなります。横穴式石室は、玄室と羨道を区分する玄門部に特別な構造を持たない「無袖式」に分類されます。玄室の奥壁は一枚石による「鏡石」は使用されていなく、板状石を長手積みした多段積みの構造となっています。また、側壁は最も下段の基底石(腰石)が一般的な横位ではなく、縦位に使われていることが特徴となります。大室古墳群中では大室谷支群の187号墳やD号墳、金井山支群の466号墳などで同様な特徴が見られますが、少数派です。こうした石材の使用方法は「腰石を立てる横穴式石室」として注目され、朝鮮半島との関係に注意が払われています。
副葬品は発掘調査が実施されていないため、出土していません。また、本墳出土と伝えられる遺物もありません。このため、築造時期を推定する根拠に乏しいですが、横穴式石室の特徴からすると6世紀後半代に位置づけられる可能性が高く、7世紀代まで下らない古墳時代後期後半代の古墳としては古い一群に属する可能性が考えられます。
本墳が位置する北谷支群では、1966(昭和41)年から長野県農事試験場の建設事業の計画策定が進められました。1967(昭和42)年から本格化した建設事業に伴う保護協議時には本墳も用地内に所在する保護措置対象古墳となりましたが、規模が大きく、残存状況が良いことから当初より保存が要望されていて、現状保存されることとなりました。このため、現在も長野県農業大学校地内に保存されています。