おおむろ425ごうふん
大室425号墳
- 遺跡群
- 大室古墳群 北谷支群
- 遺跡番号
- F-116-425
- 種別
- 古墳
- 時代
- 古墳
- 地区
- 松代
- 所在
- 松代町大室
- 地図
-
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- 解説
- 大室425号墳は松代町大室の大道東山手に位置し、「大室古墳群北谷支群」に属しています。大室古墳群北谷支群は北谷・中谷・ちがや窪・臼窪の四つの谷部と、これらが開口して千曲川に向けて形成された扇状地上に古墳の分布がみられます。425号墳はこれら四支谷の前面に形成された扇状地の扇端部に位置し、北谷支群では最も千曲川に近い古墳のひとつとなります。
大室古墳群北谷支群では1969(昭和44)年から1970(昭和45)年にかけて長野県農事試験場等の建設事業に伴い発掘調査が実施されていますが、本墳も記録保存の対象古墳として発掘調査が実施されています。調査着手前は墳丘頂部が大きく凹んで横穴式石室が露出し、墳丘の一部が削り取られて楕円形を呈するなど、損壊の著しい状況でした。発掘調査の結果、墳丘端部を巡る石列が確認され、直径13m、高さ2.5mを測る円墳であることがわかりました。また、墳丘内部は横穴式石室の裏込めとして礫を使用し、その礫層を盛土によって抑え、墳丘の表層のみを礫で覆う墳丘構造が明らかにされました。こうした墳丘構造は大室谷支群の23号墳や31号墳等でもみられ、積石墳丘の一種類と考えられています。
埋葬施設は両袖式の横穴式石室です。玄室奥壁は一枚石による「鏡石」が使用されています。天井石は既になく、盗掘を受けていましたが、石室内より鉄鏃、刀子、鉄釘・鎹(かすがい)、装身具(耳環・玉類)が出土しています。耳環は4点出土していますが、3種類あることから少なくとも3人の埋葬が想定されます。
出土遺物で注目されるのは、鉄釘と鎹です。鉄釘と鎹が横穴式石室内から出土したことは、埋葬にあたって木棺が使用されたことを示しています。さらに、鉄釘には2種類認められることから、少なくとも木棺が2棺使用されたと想定されています。大室古墳群での鉄釘・鎹の出土は現在までのところ、本墳以外ではみられず、石室内で木棺を使用したことがわかる唯一の事例となります。
このように425号墳の発掘調査では墳丘内部に盛土を用いて墳丘表層のみを礫層で覆う墳丘構造が明らかにされ、木棺の使用が認められるというそれ以前の大室古墳群では知られていなかった知見が得られています。
築造時期は墳丘の構造や横穴式石室の形態、出土遺物等より7世紀前半代と考えられています。
なお、本墳は記録保存のための発掘調査が実施されましたが、幸い現在も長野県農業大学校地内に保存されています。また、出土遺物は長野市立博物館にて保管されています。
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