指定文化財詳細

しほんきんちちゃくしょくしじょうかぶきぎおんしゃとうず

紙本金地著色四条歌舞伎祇園社頭図

指定区分
重要美術品 
地区
古牧 
所在
長野市大字西尾張部 
年代
江戸時代 
指定等年月日
昭和23年4月7日

 

解説
 この絵画は、小型の六曲(①)屏風(びょうぶ)一双に描かれた屏風絵である。大きさは縦61.8㎝、横214.8㎝。江戸時代の風俗画の一種で、対(つい)の一方に四条歌舞伎図、他の一方に祇園(京都八坂神社)社頭図が描かれている。筆者は不明だが、構図、筆使いなどから、おそらく京都狩野(かのう)派の末流をくんだ町絵師の手によるものと思われる
 四条歌舞伎絵図は、当時の京都四条河原歓楽街にかかった歌舞伎の小屋と、それに見入る都の人々の風俗に取材している。右から左に展開する絵巻物にも似たこの屏風絵は、庶民の求めに応じて作られたものであり、当時の美術・風俗・社会事象などをうかがい知ることのできる資料的価値の高いものである。
 この図の舞台は能舞台のように前方に張り出し、観客は三方から集観している。舞台上には後方に楽囃座、中央に白、黒、褐色の衣裳(いしょう)をまとった踊り子(男)20人が描かれる。刀を帯び、手に扇を持って演舞し、その姿は遊女歌舞伎から女歌舞伎、さらに若衆歌舞伎へと変移する。その先頭の人は刀、扇に、ひょうたんを腰に下げ、主人公らしい姿で狂言師のような口上を述べているようすで、道化(どうけ)役者的存在を示している。
 絵画描法上では、人物・建物・樹木のほか、空間と地面にあたる部分に金箔を張り、その上に金泥を塗っている。また画中の人物は、頭を除いて着衣から下は金泥線で輪郭を描き入れる。
 人物表現には硬さがあり、速さが巧みで、衣裳にはそれぞれその職業に応じて三十数種類の模様が表現されている。
 松代大門踊りの踊り子も、以前にはこのような風俗衣裳で演舞したのではないかと思われる。

注① 六曲・・・・六面が連結したもの。一双は左右一対の一組。 

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