指定文化財詳細

しほんちゃくしょくかちょうのず

紙本著色花鳥の図

指定区分
市指定有形文化財 
地区
吉田 
所在
長野市吉田 
年代
安土桃山~江戸時代初期 
指定等年月日
平成3年2月28日
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解説
 安土桃山時代から江戸初期にかけての画家狩野山楽(かのうさんらく)(1559~1635)による花鳥図の対幅である。大きさは縦105㎝、幅46.7㎝。
 山楽は初め木村光頼といい、豊臣秀吉の小姓だったが、狩野永徳の門に入り、のち永徳と父子の義を結んで狩野氏を許され、京狩野の祖となった。永徳なきあと画壇の第一人者で、その優れた作品は現在国宝、重要文化財などに指定されている。
 対幅の左隻「枝垂柳と鴛鴦(えんのう)図」では、柳の枝が左上方から円を描いて水面に垂れ、中央左に鴛(おしどり)(雄)一羽、下方の右寄りに鴦(おしどり)(雌)一羽とそれに寄り添い重なるように二羽の幼鳥が描かれている。
 一方の右隻「山鳥と蔦(つた)紅葉図」は画面の右半分が老松の幹のもとで羽を休める雌雄の山鳥の姿で占められており、老松に垂れ下がる蔦が鮮やかに紅葉している。
 両図とも水墨で描かれた木の線は勢いよく、鳥や蔦に施された色彩は気品に満ちている。古色がかっているため枝垂柳の葉や松葉の緑が失われているのが惜しまれるが、当初の鮮やかさをしのぶことができる。
 なお、両図とも狩野山楽の落款(らっかん)(署名と印)があるのに加え、「花鳥二幅狩野山楽画 右正筆 安永五年(1776)七月二十三日蛇足軒簫白(しょうはく)」の曽我簫白による極書(きわめがき)(鑑定の証明書)が添えられている。簫白(1730~1781)は江戸中期の異色画家で、山楽派の高田敬輔に師事したのち、曽我蛇足を慕い蛇足軒と号した。
山楽の養子 山雪も蛇足軒と号しており、簫白の山楽を敬慕する念が強かった事がうかがわれる。