指定文化財詳細

もくぞうあみだにょらいおよびりょうわきじりゅうぞう

木造阿弥陀如来及両脇侍立像

指定区分
市指定有形文化財 
地区
長野 
所在
長野市大字長野元善町 
年代
15世紀初頭(室町時代) 
指定等年月日
平成9年4月1日
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解説
 世尊院は、善光寺一山天台宗大勧進の末寺で銅造釈迦涅槃像(重要文化財)や木造毘沙門天像(長野市有形文化財)等を伝えている。
 この阿弥陀如来は立像で左手刀印を結び、観音・勢至の両脇侍は八面宝冠を頂き、両掌を胸前で梵篋印を結ぶ。三尊ともに高い臼型台座にのり、背面には大形の舟形光背を置くいわゆる一光三尊の形をとる善光寺式阿弥陀三尊像である。善光寺式阿弥陀三尊像は信濃善光寺の本尊像の形制にならっての模造である。
 本尊中尊は像高約45㎝、髪際近くは細かく、頂きに向かって大粒となる螺髪、大きく平らな肉髻、幅と奥行きのある面部(面長6.5㎝、面幅7.4㎝、面奥8.5㎝)、比較的ずんぐりとした体躯など室町期の特色を示している。腹前から裾にかけての衲衣の頻瑣な衣文は鎌倉中期頃から用いられるようになった宋朝様式、垂れた袖先は藤原期以来の様式を範としている。また、脇侍の台形八面宝冠も鎌倉古様である。
 残念ながら彩色は完好とは言い難いが、多分に多様化された衣文の彫口や鮮やかな彫眼等に巧みな刀さばきがみられる。製作は15世紀初頭(室町時代)。
 全国各地に二百余の模刻像があるが、その大方は金銅造であって、本像のごとき木彫造は安国寺(広島県福山市)のほぼ等身に近い鎌倉時代の例のほか、近世の作例にまま散見するのみである。
 いささかの後補はあるものの作行良好な三尊一具の製作、時代の特質がよく表され、何よりも素材が木造であることは貴重な作例である。