指定文化財詳細

たまよりひめのみことじんじゃほんでん・はいでん・むなかたしゃほんでん・むなかたしゃはいでんおよびほんでんおおいや

玉依比賣命神社本殿・拝殿・宗形社本殿・宗形社拝殿及び本殿覆屋

指定区分
国登録有形文化財 
地区
松代 
所在
長野市松代町 
年代
江戸時代中期、江戸時代後期 元禄6年(1693)、嘉永7年(1854) 
指定等年月日
平成26年12月19日

 

解説
 玉依比賣命神社は松代町東条の天王山南麓に位置する。玉依比賣命神社の境内は、石段の先に拝殿がたち、拝殿の奥に本殿がたつ。宗形社は拝殿前面の道路を挟んで東側にたち、かつて近くに御手洗(みたらし)池があったといわれている。
現存する玉依比賣命神社の建物群は江戸時代中期から後期にかけて建設されたものであり、松代町に城下町が展開した当時の歴史を伝え、この地域における神社境内の発展過程をよく示すものである。これらの建物群は、背景となる山々とも調和し、地域の景観形成にも大きく寄与している。
 玉依比賣命神社本殿は、三間社流造(さんけんしゃながれづくり)の本殿で、寛文3年(1663)の社殿の軸組(じくぐみ)を残して、江戸時代後期に大幅な改修が行われている。内部は一室で、奥の半間に祭壇を構える。全体に装飾を抑えた端正な意匠の本殿である。
 玉依比賣命神社拝殿は、嘉永 7 年 (1854)建築の木造平屋建の建物で、内部は床の高さが異なる 3 つの空間で構成されている。変化に富んだ平面を持ち、巧みに演出された内部空間と複雑な屋根形状をもつ拝殿である。当拝殿は、「御田(おた)祭、児玉石(こだまいし)神事、御判(ごはん)神事」(市指定無形民俗文化財)が行われる場所でもある。
 玉依比賣命神社宗形社本殿は、元禄 6 年 (1693)の建築とされ、玉依比賣命神社境内の東方に位置し、覆屋内にある。小規模であるが本格的な構えの本殿であり、大きな増改築の痕跡はみられず、造形の規範となる優れた建物で、当初の姿をよく伝えている。
 玉依比賣命神社宗形社拝殿及び本殿覆屋は、江戸時代中期の建築で、材の風蝕(ふうしょく)具合からも宗形社本殿とほぼ同時期の建築年代と考えられる。建物正面は開放され、内部は前後に分かれ、上段の後室に本殿が鎮座する。