- 解説
- 大室235号墳は大室谷の谷口、音無川が形成する扇状地の扇頂部に位置しています。「大室古墳群 大室谷支群 村東単位支群」と呼ばれる古墳グループに属し、史跡大室古墳群エントランスゾーンを構成する古墳の1基となります。
標高392mの本墳の周囲には現在、古墳がなく、単独立地の様相を示しています。ただし、不自然な平坦地形が広く続くなど、大規模な地形改変が行われたものとみられ、位置不明の236号墳をはじめとした古墳がかつては周囲に存在したと考えられます。
本墳自体も地形改変の影響を受けていて、史跡指定時には南東側(山側)の墳丘が大きく削平されて、横穴式石室の側壁や天井石が露出している状態でした。発掘調査は史跡整備事業に伴い、2000(平成12)年・ 2001(平成13)年・ 2004(平成16)年に実施されています。
墳丘は直径約15mを測る、土石混合墳丘の円墳と考えられます。地形改変の影響により墳丘裾部の確定が困難で、墳丘規模がさらに大きい可能性も考えられます。埋葬施設は全長9.14mを測る無袖形の横穴式石室です。天井石は3石が残り、奥壁は多段積みとなります。盗掘目的のため、奥壁上部の天井石と奥壁の石材が外されていて、南側にも北側にも石室への入口があるようにみえますが、石室の開口部(入口)は南西側で、北東側が奥壁となります。
出土遺物は土師器・須恵器の小片がごく少量出土した程度です。
築造時期は横穴式石室の形態などから古墳時代後期後半、六世紀後半と考えられます。
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