指定文化財詳細

どうぞうかんのんぼさつりゅうぞう

銅造観音菩薩立像

指定区分
市指定有形文化財 
地区
若穂 
所在
長野市若穂保科 
年代
鎌倉時代中期 
指定等年月日
昭和49年7月20日

 

解説
 この像はその形から観音菩薩像とされるが、本来は独尊像としてではなく、阿弥陀三尊像の脇侍(きょうじ)(わきにひかえる像)として造られたものと思われる。

 銅造で、像高は29.8㎝。宝冠を戴き、条帛(じょうはく)と裳をつける。地髪の毛筋をあらわしていて、その一部は左右の耳を巻く。
 右手はひじを曲げ、手のひらを内側に向けて五指で蓮茎を握り、左手も同様にひじを曲げて手のひらを内に向け、五指を伸ばして施無畏印(せむいいん)を結ぶ菩薩形である。
 鎌倉時代初期から鋳造された善光寺式の一光三尊像の脇侍とは、そのひじ先が全く異なっているが、よく見ると補修の跡が明らかで、両ひじから先の部分は後から補足したものとわかる。もともとは善光寺阿弥陀三尊脇侍のように梵篋(ぼんきょう)印だったものが、両ひじ先を欠失し、その補修の際いまの印相(いんぞう)に変わったものだろう。
 像の形成には宋朝(そうちょう)様(よう)の写実的な作風が見られ、鎌倉時代中期の作と考えられる。