- 解説
- 大室246号墳は「大室古墳群大室谷支群村東単位支群」と呼ばれるグループに属しています。大室谷支群は標高700m近い谷上部から標高350m付近の谷入口部に形成された扇状地にかけて古墳の分布がみられますが、谷入口部にまとまって分布する古墳を村東単位支群と呼称しています。246号墳はこのうちの1基で、平成9(1997)年に指定された史跡大室古墳群に含まれています。
発掘調査は史跡整備事業に伴い実施されています。調査着手前の246号墳はすでに横穴式石室の天井石が露出し、奥壁が取り外されているなど墳丘の流出や石室の破損が著しい半壊の状況でした。調査を実施すると、横穴式石室の構築に伴い裏込め等を押さえる目的で設置された墳丘内を巡る2列の石列と墳丘端部の石列が確認されました。この結果、無袖形の横穴式石室を埋葬施設とする直径12mの土石混合墳丘の円墳であることがわかりました。出土遺物は土師器・須恵器の破片が少量出土したにすぎませんが、底部に穴を開けた土師器の壺が複数個体、墳丘から出土していることが特筆されます。底部に穴を開けた壺は「底部穿孔壺(ていぶせんこうつぼ)」と呼ばれていますが、こうした壺は古墳時代の前半期に日本各地の古墳で使われています。古墳時代の中頃には姿を消してしまいますが、本墳では横穴式石室を埋葬施設とする古墳時代後半期の古墳であるにも関わらず底部穿孔壺が墳丘で使用されていることがわかりました。
築造された年代は出土遺物や横穴式石室の形態から6世紀後半と考えられます。
現在は発掘調査で確認された石列を復元し、築造途上の姿が見学できる古墳として、史跡大室古墳群エントランスゾーンで公開されています。
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