学芸員のちょこっと一言 ながの文化財ブログ

長野市埋蔵文化財センターでは、事業の一つとして史跡大室古墳群の整備を行っており、現在は大室谷支群ムジナゴーロ単位支群を対象とした第2期整備を進めています。このたび、史跡大室古墳群整備専門家会議の現地視察が122日・6日・15日の各日に開催されました。

 

整備専門家会議は、史跡整備の進め方について考古学・造園学など各分野の専門家から様々な助言を頂く場です。今回は、平成26年度から平成28年度にかけて発掘調査を実施した5基の古墳(154号墳・167号墳・172号墳・173号墳・176号墳)について、考古学を専門とする委員の先生方に現況を見ていただきました。

 

各古墳については、頂いたご意見をもとにさらに調査・研究を進め、大室古墳群の魅力が市民の皆さんに伝わるよう整備を進めていきたいと思います。

 

石室の中に入って調査する土生田委員 122日のようす
中央が土生田純之委員(専修大学文学部教授)
説明を聞く小林委員と佐々木委員 126日のようす
左端が小林秀夫委員(長野市地方文化財保護審議会委員)、左から2番目が佐々木憲一委員(明治大学文学部教授)
説明を受ける笹澤委員と田中委員 1215日のようす
右が笹澤浩委員(長野県文化財保護審議会委員)、左が田中裕委員(茨城大学人文学部教授)

 

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1214日、大室古墳群の中にある梅林の剪定作業を地元の方と一緒に行いました。

 

例年は突然の大雪に見舞われることが多かったこの作業ですが、今年は時折晴れ間がのぞく比較的穏やかな気候に恵まれ、予定通り午前中ですべての木の剪定を終えることが出来ました。切り落とした枝は大室区のどんど焼きで活用していただきます。

 

脚立にのぼって梅の枝を剪定しているようす


さて、梅林の向かいにある芝地に目を向けると、写真のとおり広範囲に芝がめくれ、下の土がむき出しになっていました。実は今年はイノシシの掘り返し被害が深刻で、補修をしては掘り返され、いたちごっこならぬイノシシごっこの状態です。これ、なんとかならないでしょうか…(泣)

 

イノシシに芝生が掘り返されて土がむき出しになっているようす

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 12月2日にかがやきひろば湯福で講座をしてきました。11月18日からはじまった古代遺跡講座の最終回です。湯福地区とも縁の深い善光寺について、「古代善光寺の謎」というテーマでお話しました。古代の善光寺の歴史を、考古学や日本史、美術史の視点から考えるというものです。25人の方々にご参加いただき、善光寺周辺で出土した実物の瓦を見ていただきながら楽しくお話させていただきました。今回で古代遺跡講座は終了です。ご参加の皆様、職員の皆様ありがとうございました。

 

スライドを見ながら善光寺の古代について解説
▲スライドを使い、善光寺の古代について解説しました。
善光寺瓦について、実際に出土した瓦を見てもらう
▲善光寺瓦について解説。実際に出土した瓦を間近で見ていただきました。

 

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 今月18日に、かがやき広場湯福(湯福老人福祉センター)にて、古代遺跡講座の第1回を行いました。

「邪馬台国と赤い土器のクニ~弥生時代の箱清水~」と題して、講演させていただきました。

 

 長野西高校建築中の明治33年、赤く塗られた、文様のない土器が数百個も見つかりました。箱清水式土器の発見に至るエピソードから始まり、邪馬台国や卑弥呼の謎にも触れながら、弥生時代の人々のくらしについてお話させていただきました。箱清水遺跡の重要性を感じ取っていただけたなら幸いです。

 

 また、同月25日には、古代遺跡講座の第2回「勾玉作り体験」を行いました。

実質1時間半という短い時間であったにも関わらず、参加してくださった皆さん全員がとても素敵な勾玉を作られていました。

 当日は、勾玉作りがもっと楽しくなるように、勾玉の謎や魅力について説明させていただいたり、長野市内の遺跡で出土した本物の勾玉を実際に触っていただいたりしました。

勾玉をつくることで、古代人の技術や思いを感じていただけたらうれしいです。

 

 さて、かがやき広場湯福主催の古代遺跡講座は、次回の第3回が最終回となります。

「古代の善光寺をさぐる~周辺遺跡の発掘調査~」と題して、発掘調査から見えてきた古代の善光寺について講演させていただきたいと思います。ぜひご参加ください。 

 

勾玉の説明を聞く参加者の方々

      ▲勾玉の説明を聞く参加者の方々

 

 

勾玉を作っている参加者の方

           ▲勾玉作りの様子

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 95日から行っていた、(仮称)後町ホール建設予定地(長野市大字南長野、旧後町小学校)での県町遺跡の調査が119日に終了しました。弥生時代中期後半の住居跡2軒と溝が見つかりました。溝は幅約4.4m、長さ約25m、深さ約1.3mで、断面がV字形をしています。これらの遺構は昨年行った北側の調査区で見つかった住居跡3軒と同じ集落であり、溝は集落の境界をめぐる環濠と考えられます。

 

 

 

                           ラジコンヘリで空中撮影を行いました。竪穴住

                        居の南に、大きな溝が東西に走っています。

 

 

竪穴住居から出土した土器の図面を描いている様子

          出土した土器の図面を描いています。細かく

         測って絵を描くので根気がいります。

 

 

発掘中の竪穴住居。土器がたくさん出土

          竪穴住居の床には弥生時代の壺や甕などの

         土器がた くさん残っていました。

 

弥生時代の土器がつぶれた状態で出土

土器はその場所でつぶれたように出土しました。

 

弥生時代の大きな溝を横から撮影

大きな溝は断面がV字形をしています。

 

弥生時代の大きな溝を掘っている様子

大きな溝は深くて傾斜があり、掘るのが大変

         でした。作業員の皆さんお疲れ様でした。

 

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休館期間 平成28121日(木)~平成29331日(金)
 

次の開館は平成2941日(土)からとなります。平成29年度の開館日は文化財課ホームページをご覧ください。
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11月4日(金)、長野市松代町にある清野小学校において清野小学校130周年記念事業実行委員会が主催する記念講演会が行われ、「清野小学校は古代のタイムカプセル」と題した講演をさせていただきました。

 

清野小学校は松代町清野の千曲川右岸自然堤防上に広がる四ツ屋遺跡の西端に位置しています。四ツ屋遺跡は弥生時代から平安時代までの集落遺跡で、昭和51年に校舎の改築に伴って行われた発掘調査を皮切りに、これまでに6度の調査が行われました。また学校隣接地には、「四ツ屋祭祀遺跡(四ツ屋古墳)」や「道島廃寺」などの特殊な遺跡も存在します。

 

講演ではこれらの遺跡を紹介しながら、清野地域の歴史的重要性とともに、過去を知ることの楽しさ・大切さをお話させていただきました。児童の皆さんには少し難しい内容もあったかもしれませんが、ふるさと清野の素晴らしさを感じ取っていただけたなら嬉しく思います。

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なお、校内では10月上旬から四ツ屋遺跡などの出土品を展示しており、当日は児童のみなさんに解説をする機会もいただきました。

 

清野小学校の皆さんありがとうございました。

 

講演会のようす 展示品を前に解説を聞く児童
▲講演会のようす ▲展示解説のようす
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 今月から湯福老人福祉センターで、3回にわたって古代遺跡講座が行われます。

内容は、

  第1回 11月18日 『邪馬台国と赤い土器のクニ ~弥生時代の箱清水~』

  第2回 11月25日 『古代の勾玉づくり体験教室』

  第3回 12月2日  『古代の善光寺をさぐる ~周辺遺跡の発掘調査~』

となっており、発掘調査で見えてきた長野市や善光寺について講演します。                             

 

 これに先立って、10月21日から12月2日まで、湯福老人福祉センターにてミニ展示を開催しております。

 第1回の講演のキーワードである箱清水式土器や、善光寺に関わる出土遺物として善光寺瓦が展示されています。

 いつもケースを隔てている展示遺物も、今回はケースに入れずそのまま展示されています。土器や瓦の実物を真近でご覧頂ければ、講演の内容もよりリアルに感じ取ってもらえるのではと思います。

 この機会にぜひ、展示や講座に足をお運びください。

▼展示の様子

赤い土器や瓦の実物、文章パネルが展示されている画像

展示物を4人の女性が見ている様子

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大室古墳館では、現在、企画展示を行っています。


今年度は「最後の合掌形石室の副葬品」と題して、大室谷支群の241号墳と北谷支群の356号墳の出土品を展示しました。この2基の古墳はともに六世紀前半に築造された、大室古墳群内で最も新しい合掌形石室の古墳です。
併せて、発掘調査を継続している大室谷支群176号墳の出土品も展示しました。
この機会に、ぜひとも、大室谷支群と北谷支群の合掌形石室から出土した副葬品を見比べてみてください。

 

1 企画展示名

「最後の合掌形石室の副葬品」

 

2 展示期間

平成28年10月23日(日)から平成28年11月30日(水)まで

 

3 展示遺物

大室241号墳出土馬具
 ・剣菱形杏葉(けんびしがたぎょうよう)
 ・環状雲珠(かんじょううず)
 ・鞍金具(くらかなぐ)
大室356号墳出土遺物
 ・直刀(ちょくとう)
 ・鉄鏃(てつぞく)
 ・須恵器 はそう
大室176号墳
 ・土師器(はじき)
 ・円筒埴輪(えんとうはにわ)
 ・壺形埴輪(つぼがたはにわ)

 

4 入場料

無料

 

大室古墳館内の企画展示(全体)
▲企画展示のようす
大室古墳館内の企画展示(241号墳・356号墳)
▲大室241号墳(左)、356号墳(右)
大室古墳館内の企画展示(176号墳)
▲大室176号墳

 

 

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10月23日(日)、史跡大室古墳群において「大室古墳群まつり」が開催されました。

 

大室古墳群まつりは、地域の貴重な文化財である大室古墳群により多くの人に親しんでもらおうと地元大室区の実行委員会が主催しており、今年で3回目を迎えました。長野市埋蔵文化財センターでは、古墳見学会や火おこし体験、まが玉つくりなどで運営のお手伝いをしています。当日は肌寒い一日となりましたが、これまででもっとも多い600人以上が来場し、秋の大室古墳群でのひと時を楽しみました。

 

大釜火入れ式に参加した小学生の集合写真 今年の大釜火入れ式は、寺尾小学校1年生と松代町内6小学校の5・6年生の代表者が参加しました。
古墳の前で学芸員の説明を聞く来場者 見学会のようす。昨年と同じく、エントランスゾーン班・ムジナゴーロ班・霞城班の3つに分かれて古墳や山城を見学しました。
火おこし体験のようす。小さな子供から大人までたくさんの人が古代の火おこしにチャレンジしました。
ふるまわれた古墳カレーに行列をつくる来場者 いまや古墳群まつり一番の名物となった「古墳カレー」。昼時にはカレーを求める長蛇の列ができました。

 

 

大室古墳館では「最後の合掌形石室の副葬品」と題し、大室古墳群でもっとも新しい合掌形石室をもつ356号墳と241号墳の出土品を展示しました。また、今年発掘調査を行った176号墳の出土品もあわせて展示しました。

 

大室古墳館の中で学芸員の展示解説を聞く来場者 

展示解説の様子。展示品の特徴を学芸員が詳しく解説しました。

 

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