学芸員のちょこっと一言 ながの文化財ブログ

文化財めぐり 「武富佐古墳」

市指定史跡(平成22年指定)
所在地/信州新町竹房

 

犀川の右岸にある武富佐古墳(たけぶさこふん)は、直径15メートル、高さ2メートルの円墳で、6世紀から7世紀初めの古墳時代後期に造られたと推測されています。川岸の段丘北斜面を利用しているため、ほとんど盛り土されておらず、自然地形を生かした造りになっています。

1966(昭和41)年の発掘調査では、組み合わせ式の箱形石棺(はこがたせっかん)が大小2基発見されました。第1号石棺の内法(うちのり)は、長さ2.15メートル、幅47~50センチメートル、第2号石棺の内法は、長さ1メートル、幅26センチメートルです。古墳からは、須恵器(陶質の土器:すえき)破片、玉類などが出土しています。

犀川中流域の古墳は数が少なく、貴重な古墳となっています。

武富佐古墳の墳頂部


※ 文化財めぐりは『広報ながの』にも毎号掲載されています。

 

 

【文化財めぐりをされる方へ】
 
文化財の位置やより詳しい情報はコチラをご覧ください。 >>> 詳細ページ
 


お問い合わせ  長野市教育委員会文化財課 TEL 026-224-7013

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文化財めぐり 「余五将軍駒つなぎのイチイ」

市指定天然記念物(昭和49年指定)
所在地/小田切地区(小野平)

 

イチイは別名アララギともいい、主に日本や朝鮮、中国などの東アジアに分布している植物です。日本では昔、この木で笏(しゃく)を作ったことから、位階の正一位、従一位などの一位にちなんで付けられた名前といわれています。

このイチイは、樹高13メートル、幹回り4.3メートルで、県の旧天然記念物の指定を受けた名木です。

古い伝説に関係した老樹としても貴重な木で、信濃の国の国司、余五将軍(よごしょうぐん)平維茂(たいらのこれもち)が鬼女紅葉(もみじ)討伐の折にこの地に泊まり、この木に駒(馬)をつないだと伝えられています。1024(万寿元)年に平維茂が亡くなったとされることから、樹齢千年を超えているともいわれています。


 


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余五将軍駒つなぎのイチイ

平維茂が馬をつないだとされるイチイ

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文化財めぐり 「石造多層塔」

市指定有形文化財(昭和44年指定)
所在地/篠ノ井二ツ柳

 

多層塔(たそうとう)は、多重塔ともいわれ、石塔などで屋根が重なっている塔のことをいいます。

この塔は、総高127センチメートルの二重の塔ですが、元は、三重か五重であったと思われます。笠の部分の勾配がゆるく、軒の隅をわずかに反らせ、軒口が垂直であることから、石造多層塔としては古式のものであり、平安時代のものと推定されます。県内にある多層塔のほとんどが安山岩質のものであるのに対して、凝灰岩でつくられていることも特徴です。

地元の方田(ほうだ)区では、この塔に覆屋(おおいや)を設けるなど、今も大切に保存しています。


 


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篠ノ井二ツ柳方田にある石造多層塔

【文化財めぐりをされる方へ】
・ 最寄のバス停「
方田公民館前」からは徒歩で10分程度かかります。
・ バスの運行情報はバス会社ホームページからご確認ください。

 


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文化財めぐり 「八橋流筝曲」

市指定無形文化財(平成15年指定)
所在地/松代町

 

八橋流筝曲(やつはしりゅうそうきょく)は、江戸時代初期に八橋検校(けんぎょう)が創始した流派で、古八橋流・新八橋流などがありましたが衰退し、現在は松代に伝えられた系統だけが残っています。

この筝曲は、八橋検校の直伝を受けた小野のお通(2代目お通)が、松代藩2代藩主真田信政に嫁いだことから、松代に伝えられました。その後、8代藩主真田幸貫の時代には、学芸が奨励され、筝曲は藩士や子女のたしなみとして盛んになりました。

明治以降、八橋流は衰え、戦後には継承者が途絶えたとされましたが、真田志んが伝承者であることが分かり、国の無形文化財保持者に認定されました。その後、娘の淑子が八橋流を継承し、現在は、門下生である八橋流筝曲保存会が、その特色ある筝曲を伝承しています。


 

八橋流筝曲八橋流筝曲

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【文化財めぐりをされる方へ】
・八橋流筝曲保存会の皆さんにより、第49回八橋流筝曲定期演奏会が下記のとおり開催されます。
  日 時 : 平成27年10月3日(土) 午後1時30分より
  会 場 : 松代文化ホール(入場無料)

 

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文化財めぐり 「塚本のビャクシン」

県指定天然記念物(昭和48年指定)
所在地/若穂川田

 

ビャクシンはヒノキ科の常緑樹で、滋賀県の伊吹山に生えていたことから「イブキ」とも呼ばれています。

本州や四国、九州に自生し、岩の上や石灰岩の上にも生育するため、本州では、特に太平洋岸と瀬戸内地方の海岸近くに多く見られます。内陸では、庭園や社寺に多く植えられていますが、園芸品種のものは盆栽として鑑賞されています。樹齢が長く、高木になるものもあります。

塚本地区にあるこのビャクシンは、樹高約25メートル、幹回り約4.5メートルの巨木で、樹勢もよく、樹姿に優れています。

 

県内では、飯田市にあるビャクシン「川路のネズミサシ」も、県の天然記念物に指定されています。

 

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塚本のビャクシン
塚本のビャクシン

【文化財めぐりをされる方へ】
・個人の方の敷地内にありますので、敷地内に入る場合にはお声をかけた上でご見学ください。

 

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文化財めぐり 「泉平伊勢社の大ケヤキ」

市指定天然記念物(平成17年指定)
所在地/豊野


ケヤキはニレ科の落葉樹で、大木となり、日本各地で天然記念物に指定されています。木目が美しく、堅くて摩耗に強い特性があるため、古くから家具材や日本家屋の建築材として用いられてきました。

泉平地区の伊勢社境内に立つこのケヤキの木は、樹高約20メートル、幹回り約6.5メートル、樹齢350年と推定されます。大枝は横に伸び、高さの割に横幅が広い、独特の樹形をしています。根元近くの幹から大枝の付け根にかけて、一部には空洞が見えます。

大ケヤキの根元には、石の祠が祭られ、地元で大切に守られてきたことがうかがえます。

 

※ 文化財めぐりは『広報ながの』にも毎号掲載されています。

【文化財めぐりをされる方へ】
・ご見学の際にはハチなどに十分に注意してください。


泉平伊勢社の大ケヤキ

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文化財めぐり 「萩野城跡」

市指定史跡(平成5年指定)
所在地/七二会・中条


萩野城跡は、七二会の知足院(ちそくいん)と中条の臥雲(がうん)との中間に位置する、山頂一帯にある山城です。山頂は、標高1,176メートルの西嶺と、標高1,184メートルの東嶺の二つに分かれています。西嶺の山頂を本郭(ほんくるわ)とし、その西側には広い二の郭があります。一方、東嶺は、脇郭になっています。

築城年代は明らかではありませんが、1559(永禄2)年に書かれた「臥雲院縁起(がうんいんえんぎ)」には「萩野城櫓岑(はぎのじょうやぐらみね)」の記載があり、山城の構造が単純であることから、戦国期の山城に先行して造られたものと推測できます。

このような高所にある山城は県内でも珍しく、中世の山城を知る上で貴重な史跡です。

萩野城跡 本郭
萩野城跡 本郭

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【文化財めぐりをされる方へ】
・ハチやクマなどに十分に注意してください。
・車で近くまで行かれる場合には、陣場平西の地蔵峠の駐車場が利用できます。
・萩野城跡を含む陣場平周辺はトレッキングコースが整備されています。詳細はコチラからご確認ください。

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文化財めぐり 「木造金剛力士立像」

県宝(昭和37年指定)
所在地/信更町三水(長勝寺)


この金剛力士立像(こんごうりきしりゅうぞう)は、鎌倉時代後期のものとされ、ヒノキの一木造りです。偉大な力が宿るとされる金剛杵(こんごうしょ)を持ち、二体で寺の門の入口を守ることから、仁王とも呼ばれます。

向かって右側の阿形(あぎょう)の像高が194.5センチメートル、左側の吽形(うんぎょう)が197.2センチメートルと金剛力士像としては比較的小型ですが、玉眼ではなく、彫眼であることから力強さが感じられます。重厚な作風であり、衣文(えもん)も簡素で、複雑でないことがかえって剛健な趣きを醸し出しています。

長野県の金剛力士像を代表する作品の一つであり、地元では「三水の仁王さん」として親しまれています。

木造金剛力士立像(左:吽形像 右:阿形像
木造金剛力士立像(左:吽形像 右:阿形像)


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文化財めぐり 「善光寺本堂附厨子一基」

国宝(昭和28年指定)
所在地/元善町


善光寺本堂は、火災で何度か焼失し、現在のものは、1703(元禄16)年から1707(宝永4)年にかけて再建されたものです。江戸の大棟梁・甲良宗賀(こうらそうが)が設計し、木村万兵衛が棟梁となって建築しました。

本堂は、梁間(はりま)23.9メートル、桁行(けたゆき)53.7メートル、高さ25.8メートルと大規模で、撞木造り(しゅもくづくり)という珍しい様式で造られています。

また、本堂とともに国宝に指定されている厨子(ずし)には、善光寺開山の祖とされる本田善光(よしみつ)と妻の弥生、子息の善佐(よしすけ)の3体の像が安置されています。

本年は、数えで7年に一度の「善光寺御開帳」が行われ、4月5日(日)から5月31日(日)までの期間中、重要文化財である「金銅阿弥陀如来および両脇侍立像」(前立本尊)が開帳仏として本堂で公開されます。
国宝「善光寺本堂」
国宝に指定されている善光寺本堂

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・ 善光寺御開帳に関する情報は、善光寺御開帳奉賛会のホームページにてご確認ください。

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文化財めぐり 「戸隠神社太々神楽」

県指定無形民俗文化財(平成27年指定)
所在地/戸隠


神楽は、神社の祭礼で演じられる歌や舞の神事芸能です。

戸隠神社の神楽は、「岩戸開きの舞」など10種類の舞で構成され、江戸時代中期には既に奉納されていたといわれています。1868(明治元)年の神仏分離令により、奉納禁止措置が取られましたが、1880(明治13)年に神楽講が再建され、現在まで伝承されています。歳旦祭(さいたんさい)や月並祭(つきなみさい)などの祭礼で、年間70回を超える太々神楽が演じられています。

本年は、数えで7年に一度の「戸隠神社式年大祭」が行われるため、4月26日(日)から5月26日(火)までの期間中には、中社社殿で太々神楽が奉納されます。
戸隠神社太々神楽(水継の舞)
戸隠神社太々神楽「水継の舞」

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【文化財めぐりをされる方へ】
・ 戸隠神社式年大祭期間中は、太々神楽が毎日奉納されます。詳しくは戸隠神社へお問い合わせください。

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